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2020.11.13

読んで・観て、キレイを高める! 齋藤薫さんの映画エッセイvol.4

読んでから観ても、観てから読んでも、キレイになれる!
女性の美しさをあらゆる方面から解き明かし、美容ジャーナリスト/エッセイストとして多くの著書や連載を持つ齋藤薫さんが綴る、読むだけでスッと心が軽くなる『美容×映画』連載エッセイ。

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今回は、仕事への向き合い方を改めて考えさせられる映画として、『プラダを着た悪魔』『ドリーム』『フリーダム・ライターズ』を齋藤薫さんならではの視点でご紹介。頑張ることの素晴らしさが見えてきて、元気をもらえるはずです。

仕事をする意味を見失った時。自分の役割が見えなくなった時
もう一度頑張らせてくれる映画!

リモートワークの時間が増えてきて、働き方が大きく変わった今、ふと自分の仕事を見直してみたり、仕事をする意味を見つめ直したりすることがあるのかもしれない。そして、これまで脇目もふらずに頑張ってきたけれど、頑張ることの意味がわからなくなっている人もいるのかもしれない。これはそういう時に観るカンフル剤。改めて頑張る素晴らしさが見えてくる。


 デキる上司には、“先回り”しなければ評価されない。「仕事ができます」アピールではない“先回り”を!

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作品そのものもさることながら、もうこのシーンがどうしようもなく好き、何度観ても感動する、そういうワンシーンってきっとあるはずだ。私の場合はこれ。
あなたは見ただろうか。大ヒット映画『プラダを着た悪魔』で、悪魔的な編集長が、部下に無理難題を突きつけ、100%難しいと思われたその要求を見事にクリアして、それを編集長のデスクにバサッと置くシーン。
いやそれだけならば“ありがちな場面”、しかし“悪魔”は「それだけじゃあ意味がないわ」と、その場で想定外の追加要求をするという禁じ手に出る。ところがアン・ハサウェイ扮する部下は、「それならもう済ましています」としたり顔で言うのだ。いやそれでも終わらず、編集長はさらなる要求。部下は、それすらも先回りしてクリアしていた。メリル・ストリープ扮する悪魔は、あらそう、とばかりに複雑な表情でコーヒーを一口……。もちろん一言も部下を褒めることなく。それは部下がめげないことへの不満なのか、珍しくあっぱれと思ったのを悟られまいとしているのか、その判断は私たちに任されるのだ。
これが、自分にとってのベストシーンの一つで、ともかく、見るたびに心が躍る。胸がすくような思いと、とてもじゃないが真似のできない芸当に、なんだかいつもため息が出るのである。
 
じつは仕事において、ひょっとすると1番大切なのかもしれないのが、“この先回り”。
言われたことをただそっくり済ませるだけでは、「真面目な子ね」とは思われても、彼女は仕事ができるという評価までは得られない。少なくともデキる上司にはそれでは通用しないのだ。あくまでも先回りができること……。指示されたことの先にある“何か”を黙ってクリアしておくこと、言われたことの先にある要求を先読みして、済ませておくこと、それが先回り。そしてこれこそが、真に有能である証なのだ。 
 
先を読む想像力と、頼まれずともやってしまう行動力、両方が伴わないと成立しない先回り。しかし難しいのは、「また余計なことを」と思われるような、ハズレもなくは無いことだろう。ハズせばそれは、とりもなおさず鬱陶しい“仕事ができますアピール”になってしまうわけで、そこが何とも難しい。やり過ぎてはいけないし、これ見よがしではいけない。先回りには、あくまで自己顕示欲に見えないさりげなさと、相手の幸せが伴わなければいけないのだ。
つまり自分の有能さをひけらかすための先回りでは全く意味がない。あくまで相手の利益になり、相手を喜ばすことができる先回りでないと、ハッキリ言って逆効果になる。まぁそこまでの正解を、このワンシーンが隈なく教えてくれるのである。
最後に悪魔は部下にこう言うのだ。「あなたは私に似ている」と。それが、最高の褒め言葉であったのは言うまでもない。しかし、「私はあなたとは全く似ていない」と言い放つ部下はある決意をしていた……。


 職場で最も恐ろしいのは、“才能への嫉妬“である

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『ドリーム』という映画では、アメリカが初めて有人の人工衛星をあげる際に大活躍した黒人女性を描いている。つまり時は、米ソが熾烈な宇宙開発競争している1960年代。時代的に人種差別と女性差別、両方と戦いながらも、人並み外れた数学の能力で、コンピューターができる前、緻密な計算によって、人工衛星を飛ばすという偉業を成し遂げた、実在の女性たちの物語なのだ。 
でもそこに、最もリアルに描かれたのは差別問題ではなく、むしろ“嫉妬”だった。ヒロインの黒人女性は、言うならば天才。配属された宇宙計画の研究本部は、いわばエリート集団で、何十人もの男性が凌ぎを削っていた。そんな中に紅一点、しかも黒人。最初は誰も相手にしなかったが、指示された計算チェックで彼らの計算ミスを見抜いてしまうような能力を発揮するにつれ、エリートたちは彼女を排斥しようとする。そこには差別意識以上の嫉妬があった。
仕事における嫉妬は、恋愛や美貌、裕福さにまつわる嫉妬より、じつはもっとタチが悪い。そして才能への嫉妬は、とりわけ根深い。自分たちより明らかに数学的な能力ある黒人女性に、彼らがどれだけ歪んだ感情を持ったか。少なくとも職場ではそういう場合、“男の方がはるかに嫉妬深い”という現実を目の当たりにさせられるのだ。
しかしここにはもう一つの、とても大切な教えがある。ともかく一生懸命仕事をしていれば、「必ず見てくれている人がいる」ということ。 
 
どんなに頑張っても報われない、どんなに良い結果を出しても誰も褒めてくれない。そういう虚無感や疎外感を持っている人はきっと多いはず。でも本当の意味で真摯にひたむきに仕事に取り組んでいれば、絶対に報われる。必ず誰かが見てくれている。それだけは信じてほしい。信じなければいけない。自然にそういう気持ちにさせられる作品なのである。
世の中そんな捨てたもんではなく、理不尽に足を引っ張ったり、自分を否定する人がいても、もう片方に必ず真っ直ぐ邪念なく、世の中を見渡している人がいる。あなたを見てくれている人がいる。それがこの映画ではしっかりと描かれるのだ。差別問題に目が行きがちだけれど、むしろすべての女性に当てはまる、そこをしっかりと見るべきなのである。


 自分は一体何のために仕事をしているのか? それをイヤでも問い直すことになる実話

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そして、仕事ってなんだろうと、深く考えさせられるのが、『フリーダム・ライターズ』。荒れた教室を熱血教師が誠心誠意の指導で立て直し、生徒一人ひとりの心を開かせ、更生させていくという、言うならば一見“ありがちなストーリー”。ところがこれは、驚くことにすべてが実話。実話だと思ってみると、これほど凄いドラマはないのである。  
 
ロス暴動が起きた1990年代、非行どころか、ギャングに巻き込まれる10代も増える中、特に問題を抱えた生徒ばかりを集める「203」教室はほぼ有色人種、そしてほぼ全員が身近な人を殺された経験をもち、クラス内の人間関係も最悪で、当然のように授業が授業にならなかった。
そこで使命感を持って教師になったヒロインは、大きな決意をする。
教科書も十分に提供できない経済状態の上に、問題児の教育を完全に放棄している学校側は全く頼りにならず、女性教師は教科書がわりに全員に日記帳や本を与える。すべて自腹で用意するためにアルバイトを始めてまで。日記には何でもいいから心の内を書き留めてほしいと指示していた。放っておけばたちまち不登校になる生徒たちが、紆余曲折ありながらも、次第に教室に戻り、心を開くようになってくる。
と同時に、その日記から生徒たちの悲惨な状況が明らかになり、初めての課外授業として選んだのはユダヤ人迫害を記録したホロコースト博物館。生徒たちは初めて知る悲惨な歴史に衝撃を受けるのだ。そこで「アンネの日記」を全員に読ませ、感銘を受けた生徒たちを見て、今度はアンネ・フランクをかくまったオランダ人の老婦人を学校に招待することを思いつく。
女性教師はさらにホテルのコンシェルジュのアルバイトも始めていた。
 

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©2006 by Paramount Pictures. All Rights Reserved. TM, R & ©2007 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

そこまでする女性教師に批判的な学校側の管理職はことごとく邪魔をするが、それを何とか切り抜けられたのも、読み書きもろくにできなかった生徒たちの成績が確実に上がっているから。かくして精神的にも驚くほど成長した生徒たちに、寄付で集めたパソコンを配り、自分の物語を書くよう促し……。
言うならば奇跡の物語。実話でなかったら逆に安っぽく見えてしまうほどの。しかし実話ゆえに女性教師の驚くべき熱心さ、生徒たちの激変がそのまま感動に変わるのだ。多くの人が、映画の後半は涙が止まらなくなると証言したほど。

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©2006 by Paramount Pictures. All Rights Reserved. TM, R & ©2007 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

改めて、教師は素晴らしい仕事と思わせられる。しかし冷静に考えれば、彼女がここまでひたむきに生徒たちと向き合わなかったら、逆に教師は最悪の仕事にも見えるのだろう。その仕事を、最高の仕事にするのも、最悪の仕事にするのも、結局自分次第なのだということに気づかされてしまう。 
 
もちろん、ここまで自らを犠牲にし、ここまでの事を成し遂げられる人は本当に稀。ただ、こういう仕事をする女性がいることを知るだけで、深く考えさせられることになる。自分は一体何のために仕事をしているんだろう? 何かのために、誰かのためになっているのか? 自分のため、お金のため、生活のため、それではあまりにも虚しくないか?  そういう感慨に襲われるのだ。 
 
いろんな成功の仕方があるのだろう。この女性教師も『フリーダム・ライターズ』の本とともに名声を得た。ただそれはあくまでも結果。
何も成功しようとしたわけではない。それどころか、教師の他に2つも仕事を持ち、自らの家庭生活を犠牲にしている。そこまでして成し遂げたかったのは、生徒たちの人生を救ってあげること。
人を救う仕事ほど尊い仕事はない、それだけは間違いがないはずで、そういう意味でも仕事の究極を見せられた気がしたのだ。
 

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©2006 by Paramount Pictures. All Rights Reserved. TM, R & ©2007 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

ただ、人を救う立場にない仕事もたくさんあるわけで、であるならば、仕事における最大のテーマとはなんだろうと考えた。これはズバリ、“期待を超えること”。どんな仕事であれそれは可能なはずだ。改めて考えてみると3つの映画の中の女性たちに共通するのも、“相手の予想を超えたこと”ではなかったかと思う。
といっても大げさに考えないでほしい。例えばだけれど訪問した会社で、出されたお茶に、小さな“お茶請け”のお菓子がついていたら、それだけだって私たちの予想を超えてくる。それだけで受け手は小さな感動を覚えるのだ。 
 
ほんの少しでいいのである。相手の期待を少しだけ上回る。そういう仕事の仕方ができたら、きっといつの間にか、その人は成功に導かれていくのだろう。成功など頭に全くなくても、気がつけば周りがあなたを注目し、評価している。仕事をする限りはやっぱりそういう存在になりたいはずだ。
だから期待を超える、少しでも。
この女性たちのように……。


 
次回は、「一人旅は、まさに人生を見つけに行く『運命の旅』」をテーマにお届けします。お楽しみに。

イラスト:河村ふうこ

<掲載映画あらすじ・作品情報>

『プラダを着た悪魔』

大学を卒業し、ジャーナリストをめざしてNYにやってきたアンディ。オシャレに興味のない彼女が、世界中の女性たちが死ぬほど憧れる仕事を手にしてしまった! それは一流ファッション誌“RUNWAY”のカリスマ編集長ミランダ・プリーストリーのアシスタント。しかし、それは今まで何人もの犠牲者を出してきた恐怖のポストだった! ミランダの要求は、悪魔的にハイレベル。朝から晩まで鳴り続けるケイタイと横暴な命令の数々、その上「センス、ゼロ!!」と酷評され、アンディはこの業界が努力とやる気だけでは闘えないことを思い知らされる。キャリアのためとはいえ、私生活はめちゃめちゃ。カレの誕生日は祝えないし、友達にも愛想をつかされる。この会社で、このままでいいの? 私って、本当は何をしたいんだっけ?

『プラダを着た悪魔』ブルーレイ発売中/デジタル配信中
©2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.
発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン

『ドリーム』

NASAを支えた知られざるヒロインたち。
実話に基づく感動のサクセス・ストーリー

1961年、アメリカはソ連との熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた。NASAのラングレー研究所には、ロケットの打ち上げに欠かせない“計算”を行う優秀な黒人女性たちのグループがあった。そのひとり、天才的な数学者キャサリンは宇宙特別研究本部のメンバーに配属されるが、そこは白人男性ばかりの職場で劣悪な環境だった。仲の良い同僚で、管理職への昇進を願うドロシー、エンジニアを目指すメアリーも、理不尽な障害にキャリアアップを阻まれていた。それでも仕事と家庭を両立させ夢を追い続けた3人は、国家的な一大プロジェクトに貢献するため自らの手で新たな扉を開いていくのだった……。
 
『ドリーム』ブルーレイ発売中/デジタル配信中
©2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.
発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン

『フリーダム・ライターズ』

ロス暴動から2年後の1994年ロサンゼルス。ウィルソン高校に通う生徒たちは人種ごとに結束してギャングまがいの抗争に明け暮れていた。理想に燃える新任教師エリンは、貧困や暴力がもたらす子供たちの荒廃にショックを受けながらも、彼らを救うことに情熱を注ぐ。そして、自らの出費で生徒たちにノートを買い与え、そこに思ったことを自由に書き込むように提案。生徒たちは書くことによって初めて自分自身と向き合い、荒んでいた心に次第に変化が生まれていく…。

スペシャル・コレクターズ・エディション DVD:1,429円(税抜)
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
©2006 by Paramount Pictures. All Rights Reserved. TM, R & ©2007 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

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監修 齋藤 薫さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

女性誌編集者を経て独立。女性誌やウェブサイトにおいて多数の連載を持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。鋭い視点に優しさと強さを含んだ独自のエッセイは、性別や年齢を超えた多くのファンに支持されている。『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)他、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)、『キレイはむしろ増えていく。大人の女よ!もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)など著書多数。

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