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2020.10.09

読んで・観て、キレイを高める! 齋藤薫さんの映画エッセイvol.3

読んでから観ても、観てから読んでも、キレイになれる!
女性の美しさをあらゆる方面から解き明かし、美容ジャーナリスト/エッセイストとして多くの著書や連載を持つ齋藤薫さんが綴る、読むだけでスッと心が軽くなる『美容×映画』連載エッセイ。

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今回は、ジェーン・オースティン原作の映画『いつか晴れた日に』『プライドと偏見』の2作品をセレクト。19世紀英国文芸作品に潜む結婚と幸せの法則を齋藤薫さんならではの視点でご紹介します。

発見! 19世紀英国文芸作品に、結婚と幸せの法則が潜んでいる!

失恋や結婚を生き生きと愛情を込めて描いた英国の女性作家ジェーン・オースティン原作の映画が素晴らしい。代表作『分別と多感』『高慢と偏見』を映画化したこの2本は、20代30代のうちに一度観て欲しいもの。オースティン作品は、単なる恋愛小説を超え、生き方の教えと哲学があるからだ。ちなみに、アラサー女子にとって共感度100%の映画『ブリジットジョーンズの日記』は、『プライドと偏見』のパロディーとされるほどに、これをしっかりと下敷きにしていて、コリン・ファース演じるダーシーも、同名で登場する良家の御曹司をモデルにしている。幸せを追い求める女性の喜怒哀楽は、昔も今も変わらないという証。そういう意味でも、女性映画の支柱となるこの2作品、ぜひ観ておきたい。

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    『いつか晴れた日に』

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    『プライドと偏見』


 「結婚=幸せ」を求める姉妹たちの葛藤

結婚とは何か? そこへの想いは、もちろん一人ひとり違う。ただ、“あえて結婚しない人”が少しずつでも年々増えているはずの今の時代さえ、やはり大多数が“結婚と幸せ”をイコールで結びつけているのだろう。

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『いつか晴れた日に』より

不思議なことに、既婚者にとってもそれは同じ。たとえ、結婚生活に明快な幸せを感じていなかったとしても、つまり結婚に失敗したとしても尚、永遠に幸せのイメージを持ち続ける人は、決して少なくないのである。正しいか正しくないかではない。良い悪いではない。ただ、多くの人にとって、結婚が女の夢であり続けることは確かなのだ。 
 
そう、だからきっとこの2本の映画は、年齢を問わず、既婚未婚を問わず、多くの女性の心をつかむのだろう。どちらも、英国の女性作家ジェーン・オースティン原作。オースティンの作品は、単なる恋愛小説ではない、幸せを求める女性の心の機微が実に注意深く描かれていて、しみじみとした感動がある。

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『プライドと偏見』より

特に日本女性にとっては、女たちがまだ奥ゆかしく少し不安気だった19世紀の英国を舞台にした作品の方が、現代モノよりなんだか気持ちにぴたりと寄り添うような気がするのである。
かくしてどちらも、絶対のテーマはずばり結婚。もちろんそこに行き着くまでの恋愛ドラマではあるのだけれど、やはり一般的な恋愛映画と一線を画すのは、あくまでも“結婚願望”を前提とした姉妹の物語だから。


 自分の幸せを最優先しない精神性に、不思議と日本的美徳を感じさせる

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『いつか晴れた日に』より

当時の中産階級において、女性は男性に扶養される宿命にあったから、とりわけ姉妹だけの家庭は家のためにも良い結婚をしなければならないという強い義務感があった。必然的に“玉の輿”を狙うことにもなり、この2本の作品は明らかに間違った結婚をする男女が何人も出てくる。そういう意味では極めてシニカルだが、どちらにせよヒロインたちの心情は、昭和の女性たちの結婚願望と露骨にかぶってくる。だからこそ、心に絡み付くような“読後感”をもたらすのである。

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『プライドと偏見』より

まず、小説としてもあまりにも有名な『プライドと偏見』(原作は『高慢と偏見』)は、キーラ・ナイトレイ主演で映画化されたが、姉を演じたのが、その後『ゴーン・ガール』で一世を風靡したロザムンド・パイク。5人姉妹で下が詰まっていることもあり、母親は娘たちに良い結婚をさせようと必死。美しい長女は大富豪の子息に見染められるものの、ヒロインである次女は、やはり良家の出で彼の友人でもある“気難しく皮肉屋の男”に侮辱されたと思い、プライドを傷つけられる。

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 『プライドと偏見』より

やがて、結婚に向かっていたはずの長女も結局プロポーズを受けることなく月日が流れるが、姉妹が誇りを失うことはなかった。ただ、次女は反発を感じながらも自分を侮辱したはずの男の存在が気になり、彼もまたこの次女を密かに愛しているのだった。
この男こそがダーシー、『ブリジッド・ジョーンズの日記』のダーシーのモデルとなった人物なのである。
 
19世紀の上流社会における“結婚をめぐる駆け引き”もまた不思議に日本的な美徳と通じるものがあり、もどかしくも趣深くて感情移入させられる。だから同時に、正義感が強く、でも柔軟な心を持ったヒロインは、物語が進むほどにお手本にしたくなる存在となっていくのだ。
 
彼女のように、勝気なのに自分の幸せを最優先にしない精神性は、ひょっとするとオースティンが1番描きたかったものなのかもしれない。いや、そう思うのも、全くタイプの違うヒロインが、もう1本の作品でも、同じ徳を持って人生を生きているからなのだ。
 


 結婚とは、幸せの代名詞であり夢なのだ

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『いつか晴れた日に』より

もう1本の『いつか晴れた日に』の原作は『分別と多感』。設定はとてもよく似ていて、やはり長女と次女の結婚にまつわる物語を描いたものだが、こちらは失恋をもう1つの軸にしているだけに、より切ない。 
 
主演をつとめたエマ・トンプソンが脚色も担当しているが、このエマ・トンプソン演じる長女の恋が何とも泣かせる。やはり自分の幸せを犠牲にしがちな女性なのだが、人間は幸せの可能性を見つけて人生レベルでホッと安堵すると、嗚咽が止まらなくなるのだということを、この演技派女優が見事に演じ、何度見ても涙を誘うのだ。 
 
そして、女にとって結婚とはやはりこういうもの、幸せの代名詞であり夢なのだと、しみじみ思い知らされる。と同時に、自分を優先しない素晴らしい女性ほど“行き遅れてしまう現実”を、この時代も密かに描いているのである。

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『いつか晴れた日に』より

じつは作者ジェーン・オースティン自身、生涯独身を貫いている。二十歳の頃たった1度の恋愛はあったとされるが、ダーシーのモデルになったと言われるこの男性とは、いわゆる身分違いで結婚は叶わず。また当時とすればもう最後のチャンスだったはずの26歳の時に、年下の男性からプロポーズをされ、とっさに受け入れるも、翌日これを断っている。ちなみに実の姉もまた婚約者を亡くし、結婚していない。未婚の姉妹がともに暮らす家で、これらの小説は書かれているのだ。
 

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『いつか晴れた日に』より

それを知ってから観ると、この2本、尚のこと心に滲み入る。『プライドと偏見』のヒロインは家族の名誉をかけてプロポーズを断っているし、『いつか晴れた日に』はプロポーズをずっと待ちながら、相手は別の女性との婚約を進めようとする。本当に起きたこと以外は書けないと言う作者の言葉が、そこで重い響きを持ってくるのだ。 
 
まさに何があろうと、“結婚が幸せとイコールであること”をここまで素直に信じられる作品は、そうそうないだろう。41歳の若さで亡くなる作者が、命ある限りずっと信じ続けた、素晴らしい人生の法則に他ならないのだから。
 


 
次回は、「仕事をする意味を見失ったときや自分の役割が見えなくなったとき、もう一度頑張らせてくれる映画」をテーマにお届けします。お楽しみに。

イラスト:河村ふうこ

<掲載映画あらすじ・作品情報>

『いつか晴れた日に』

舞台は19世紀のイギリス。父を亡くしたダッシュウッド姉妹は、住んでいた屋敷を追われ,母親と幼い妹と共に、小さなコテージに移り住んだ。姉エリノアの心には、純朴な青年エドワードへの慕情が秘められていた。一方、妹マリアンヌは歳の離れたブランドン大佐に思いを寄せられていたが、当の本人はウィロビーに夢中で・・・。

DVD価格:1,410円(税抜) 発売・販売:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©1995 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

『プライドと偏見』

恋の邪魔者、それは“プライド”と“偏見”―。豪華キャストと壮大な映像美に魅せられる、全てのラブ・ストーリーの原点!

18世紀、女性に相続権がない時代のイギリス。女の幸せは豊かな財政の男性と結婚すること・・・。 貧しくはないけれど、大金持ちでもないベネット家では、5人の娘たちが白馬にまたがったリッチな王子様を探しており、隣に越してきた金持ち・ビングリーの噂でもちきりだった。読書好きの次女エリザベスは、ダンスパーティーでビングリーの親友・ダーシーの高慢な態度に腹をたてるが、ダーシーも彼女の聡明さと金持ちへの偏見に苛立ちを覚える。いつしか互いが気になる二人だが、誤解は解けないまま。やっと少し打ち解けるきっかけが掴めた二人だが、その頃、ベネット家の末娘の身に大事件が起こっていた!
 
Blu-ray: 1,886円(税抜)/DVD: 1,429円(税抜)
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
Film (C) 2005 Universal Studios and Scion Films (P&P) Production Partnership. All Rights Reserved.

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監修 齋藤 薫さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

女性誌編集者を経て独立。女性誌やウェブサイトにおいて多数の連載を持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。鋭い視点に優しさと強さを含んだ独自のエッセイは、性別や年齢を超えた多くのファンに支持されている。『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)他、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)、『キレイはむしろ増えていく。大人の女よ!もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)など著書多数。

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