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2020.09.04

読んで・観て、キレイを高める! 齋藤薫さんの映画エッセイvol.2

読んでから観ても、観てから読んでも、キレイになれる!
女性の美しさをあらゆる方面から解き明かし、美容ジャーナリスト/エッセイストとして多くの著書や連載を持つ齋藤薫さんが綴る、読むだけでスッと心が軽くなる『美容×映画』連載エッセイ。

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今回は、世の男たちがヒロインに恋をしてしまった映画をセレクト。“読んで・観て”美しくなれる至福のひとときを、ぜひ体感してください。

美人じゃないのになぜモテる?
男たちがヒロインに本当に恋をしてしまった魅力学メソッド映画

主人公が魅力的に描かれるのは、映画の不文律。私たちもそれを差し引いて見ているから、我を忘れることはない訳だけれど、稀に彼らに本気で恋をしてしまうことがある。その役柄に対してなのか、その演技者に対してなのかが分からなくなるほど。
そういう意味で、映画の中のヒロインが男性を虜にし、本当に恋をさせてしまったことで有名な映画が『追憶』『メリーに首ったけ』『あの頃ペニーレインと』の3作なのだ。

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『追憶』より

もちろんその手の映画は少なくないが、これらのヒロインは皆、 際立った美女とは言えないのに、ストーリーが進むにつれどんどんどんどん魅力的に美しく見えてきて、愛さずにはいられない女性になっている。魅力学として絶対に見逃してはいけないものなのである。


 モテない女の典型が、次第に美人に見えてくるとき

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「彼女は美人じゃないのになぜモテる? 」同性がそう首をかしげる女性は、どこにでも1人はいるものだけれど、彼女たちに共通するものとは何なのか? これまでいろんな形で模索されてきたテーマだが、じつは映画にこそ、そのヒントがたくさん潜んでいた。
 
それを探る上でどうしても知っておくべき伝説的なヒロインの1人が、『追憶』のケイティ…。同名の主題歌も大ヒットしたが、これを歌っているディーバ、バーブラ・ストライサンドが主役を演じている。ただ、ご覧の通りのファニー・フェース、美女とは言えない。しかもこのケイティという女性、タイプとしてはモテない女の典型、にもかかわらず、この作品を見た男たちは皆口を揃えるのだ。「観ているうちに、どんどん可愛く美しく見えてきて、ラストでは“たまらなくいい女”に見える」と。同じような証言を何度聞いたことか!
 

 『追憶』は映画としても1970年代を代表する恋愛モノの金字塔、半世紀近くも前の作品ながら、今見ても古さを感じさせない洗練された作りで、逆に今だからこそ、気持ちが寄り添う部分もあったりする。

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『追憶』より

大学時代の同級生であったケイティと、ロバート・レッドフォード扮するハベルは、第二次世界大戦下のNYで偶然再会する。ケイティは大学時代、反政府運動でマイクを握ってアジテーションするような、チリチリヘアの化粧気のない女。対してハベルは、スポーツマンで文才もあり、ガールフレンドは華やかな美人、というスター的な存在。それでもケイティは彼に憧れていた。再会して一気に恋心が再燃、まるで価値観が違う相手ながら、男も女に惹かれていき、2人は結ばれるのだ。

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『追憶』より

この時、男が女に言った珠玉の言葉が、「知っているか? 君は美しい」。片思いをしていた男に、君は自分の美しさに気づいていないと言われる女のときめきを、どうか想像してみて欲しい。彼女は彼のために生き方を変えようとするが、学生時代からの彼の友人たちの軽薄さには我慢がならなかった。「君もデカダンを楽しめよ」とパーティに連れだされるも、そのたびに彼らと衝突する。ハベルも、交際までは難しいと一度は別れを決意しながらも、結局はケイティの内なる情熱に強く惹かれて結婚に至るのだ。しかし、お互いの人生観の違いは、幸せな結婚生活の中でも変わることがなく…。
 

 むしろ気づいて欲しいのは内面を愛する男の素晴らしさ

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『追憶』より

愛情があるのに価値観は最後まで相入れない、その切なさ、もどかしさ。それでも止むに止まれぬ思いに衝き動かされて反政府運動を止められないケイティが、どんどん愛おしくなっていくのは逆に不思議なほど。人を純粋に愛する女は理屈を超えて美しい。同時に、愛に生きたいのに信念をも曲げられない健気さもまた、美しいのだ。少なくともケイティの信条は100%正義感から来たもの。だからそのジレンマ自体が美しい。きっとそういう気づきがあるはずなのだ。
 
ただのラブストーリーではない。深くて重厚、でもそれがまた切なく、芳しい。『追憶』の美しいメロディーが胸に染み渡り、なおさらケイティを魅惑的に見せるのだ。でも、忘れてはならないのがハベルの存在!
 
全てを持った恵まれた男。でも実は、友人たちが冷ややかな目で見る活動家ケイティの魅力や才能を1人見抜いていた。「君は学生時代から問題児だった」と結婚後も変わらぬ妻の過激な言動を優しく諫めようともする。

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『追憶』より

かくして重要なのは、“内面が美しい女”にちゃんと心惹かれる男の方の素晴らしさに、まず気づくことなのである。つまり、そういう一流の男の魂に触れるような精神性を持つ女、それが美人じゃなくてもモテる女の正体であること、そこに目を転じてほしいのだ。そういう男と女の関係そのものが、尊いのだということにも。そこに気づけば、美人じゃない女がモテること自体に、不条理を全く感じなくなるはずだから。
 

 彼女を見た男たちがほぼ全員虜になった最強のキュート

さて、映画史上、男たちに最も愛されたヒロインの1人が『メリーに首ったけ』、キャメロン・ディアスが演じたメリーであると言っていい。映画自体ヒットしたものの、いわゆるおバカ系、下ネタも多々、しかし不思議に爽やかなのは、やはりメリーの神がかり的なキュートさのせいだろう。彼女が美人かどうかについては、見方によって変わるというその境界線上にいる人だから、判断は分かれるところ。

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でもそんなことは、どうでもいいのだ。映画の中でも、何人もの男にモテまくるが、映画を見た男たちもみな虜になる。こういう場合、メリーが好きなのか、キャメロン・ディアスが好きなのか、もうわからなくなっている男たちから「彼女の魅力は、男にしかわからない」という言葉もよく聞かれた。いや私たち女にも充分わかるけれど、わかって欲しくないくらい神聖な「好き」なのだろう。
 
そこまでの評価を生むのは、やはり脚本を超えたキャメロン・ディアス自身の人間的な愛らしさな訳で、ここはもう映画を観てもらうしかないのだけれど、メリーの人となりを説明するなら、めちゃめちゃ性格が良く、頭が良い(医者!)のにちょっと天然、いつも明るくいつもスマイル、でも無駄に明るすぎない、はしゃがないという抑制も効いている。その上、センスも良くスタイル抜群。逆に言えばこれで美人すぎたら、出来すぎで疲れるし面倒くさい。むしろちょっとファニーフェイスであることが、“夢の女”を作るのだ。
さらにとても重要なのは、障がいのある弟をとても愛していること。綺麗事じゃない人格者的な人間の素晴らしさ、それがドタバタの中で細やかに描かれていることを見逃さないで欲しい。そう、だから後味爽やかなのである。自分もちょっと善い人になれる気がするから。

 圧倒的な二面性が、人としての引き寄せの力の正体

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そしてもう1人、ぜひ知っておいて欲しいのが『あの頃ペニーレインと』の自称ペニー・レイン。2000年に公開され、アカデミー賞脚本賞やゴールデングローブ賞作品賞など数々の賞に輝いた実によくできた傑作で、70年代を代表するロックスターの実名もバンバン出てくる音楽業界の裏側モノとしても最高に面白いが、主人公の少年は15歳ながら年齢を偽って映画雑誌に評論を書くほどの天才ライター。そして彼が憧れ続ける伝説のグルーピー、ペニー・レインを演じたのが20歳の頃のケイト・ハドソンだった。

 
監督が度肝を抜かれたと言う演技は、その若さにして女優賞をいくつも獲得。どうしても演技と思えないほどのハマり方で、観たものに皆恋をさせる。前出のメリーよりも映画がシリアスな分だけ、本気で恋をさせてしまい、まさに多くの男を妄想恋愛させたことで有名になった映画なのだ。

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『あの頃ペニーレインと』より

グルーピーと言えば、“音楽グループの追っかけで、ファンを超えた親密な関係になる女の子たち”という裏定義があるが、彼女は“伝説の”、と言うだけあって他の女の子たちとは違っていた。神秘的でつかみどころがないのに、不思議な包容力を持ち、15歳の少年をも穏やかに包み込む。とてもピュアなのに大人びていた。当時ペニーのファッションも話題となり、ペニーになりたい女子をたくさん生んだと言われる。いやいや、大人の女が観てもこういう女になりたいと言うような。

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『あの頃ペニーレインと』より

ペニーが持つこの魔力は、明らかに二面性がもたらすものである。聖女のようであり妖女のようでもある。少女のようであり母親のようでもある。そして傷つきやすいのに逞しい。笑顔には屈託がないのに、神秘的な影もある。それらすべてが人間的な奥行きにつながり、その若さにしてちょっと周囲を尊敬させるような存在を作っているのだ。これも脚本だけでは描けない、彼女自身の内的エネルギーに宿る引力がとてつもない証である。

そういう意味でも、20歳のケイト・ハドソンは間違いなく美しいが、ありきたりな美人と言う概念を超え、もう人として美しい。そう、際立った美人じゃないのにモテる女に共通するのは、“人としての美しさ”なのだ。それを生身の姿で見られるこの3作、ぜひ見て欲しい。

ヒロインを魅力的に描くのは映画として当然のこと。しかしここまで心に絡みついて離れない女性たちには、役柄にも本人にも、やはり特別な引き寄せの力が宿ってる。だから彼女たちの振る舞いや表情をただただ眺めるだけで、かけがえのない美容となること、知っておくべきなのだ。


 
次回は、「発見! 19世紀英国文芸作品に、結婚と幸せの法則が潜んでいる!」をテーマにお届けします。お楽しみに。

イラスト:河村ふうこ

<掲載映画あらすじ・作品情報>

『追憶』

1937年、大学のキャンパス。政治運動に没頭するケイティーにとって、育ちが良くハンサムなハベルはひそかな憧れの対象だった。やがて二人は、第二次世界大戦中のニューヨークで再会、いつしか愛し合い結婚する。ハリウッドでの生活は平和で幸福そのものだったが、幸せは長くは続かなかった…。

『追憶』発売中
DVD価格:1,410円(税抜) 発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©1973 RASTAR PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

『メリーに首ったけ』

メリーはキュートでやさしくて明るくて頭もよくてかっこよくて、とにかくイカしてる。
テッドは超ダサイ、トホホな高校生。
でもメリーの弟を助けたのがきっかけで、卒業パーティに誘われた! 
しかし当日を台無しにするような超〜ハズカシイ大失敗をしでかしてしまう。
……あれから13年、未練タラタラのテッドはついに、マイアミにいるという彼女の居場所を突き止めるが……。 
 
『メリーに首ったけ』ブルーレイ<完全版>発売中/デジタル配信中
発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2016 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

『あの頃ペニーレインと』

厳格な母に育てられ、セックスもドラッグも知らない優等生。そんなウィリアムが地元誌に書いた原稿がローリングストーン誌の目に留まり、フツーの15歳の生活から一転、ロックの世界に没頭してゆく。ブレイク寸前のバンドに同行取材することになったウィリアムは、グルーピーのリーダー、ペニー・レインと出会う。それは切ない恋の始まりだった…。『ザ・エージェント』『バニラ・スカイ』のキャメロン・クロウ監督の自伝的ストーリー。レッド・ツェッペリン、ニール・ヤングなど大物アーティストの取材で ジャーナリズムの伝説的存在となった自らの逸話を、70年代ロック・ミュージックにのせて贈る最高傑作。 
 
『あの頃ペニーレインと』発売中
DVD価格:1,410円(税抜) 発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
TM & ©2000 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. AND DREAMWORKS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

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監修 齋藤 薫さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

女性誌編集者を経て独立。女性誌やウェブサイトにおいて多数の連載を持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。鋭い視点に優しさと強さを含んだ独自のエッセイは、性別や年齢を超えた多くのファンに支持されている。『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)他、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)、『キレイはむしろ増えていく。大人の女よ!もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)など著書多数。

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