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2020.07.10

読んで・観て、キレイを高める! 齋藤薫さんの映画エッセイvol.1

Beauty & Movie 〜Special Essay〜
齋藤薫さんが綴る
読むだけでスッと心が軽くなる『美容×映画』連載エッセイ

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読んでから観ても、観てから読んでも、キレイになれる!
女性の美しさをあらゆる方面から解き明かし、美容ジャーナリスト/エッセイストとして多くの著書や連載を持つ齋藤薫さんが、美ビッドスマイルの読者に向けて、今だからこそ観て欲しい映画について綴ります。キレイになりたいとき、ちょっとパワーが欲しいとき、自分自身を見つめ直したいとき…etc。 
 
今回は、女性の大逆転を描いた映画をセレクト。“読んで・観て”キレイを高められる至福のひとときを、ぜひ体感してください。

女性の大逆転を描いた映画は、みな実話?
まさに事実はかくも奇なり!

女性が世の中で名を成すことがまだ許されなかった時代、才能ある女性たちが虐げられてきた現実が描かれる物語は、なぜかほぼ実話。それだけに胸に迫るものがある。女性たちの悲劇と再生を描く、リアルでドラマチックな2作品!

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 フィクションが安っぽく見えるほど事実は妙なり

気づいていただろうか? ハリウッド映画に“実話モノ”が驚くほど増えていること。「事実は小説より奇なり」は、昔の詩人が作中でポロリと残した一言に過ぎないのに、現代の私たちは今さらのようにそれを噛み締めている。まさしくフィクションが安っぽく見えてしまうほど、事実は妙なり奇なり。作り話もVFXを駆使して行くところまで行ってしまうと、もはや実話のほうがずっと心に響くのだ。日本のドラマも、よほど極端な内容でないともう受けないのも、じつは同じ理由。それぐらい、人ってスゴイということ。そのぐらい生身の人生は面白いということなのである。

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『コレット』より

そこでさらに気づいてしまったのは、女性が困難を乗り越えて大逆転する物語は、多くが実話モノだということ。実際女性のサクセスストーリーには壮絶なドラマが多いのだ。それにしても、本当にこんなことってあるの? と今もって信じられないのが、この2作。どちらも有名な芸術家がヒロインなのだけれど、その成功までの道のりは、劇的にして極めて稀有なものだった。

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『ビッグ・アイズ』より

『ビッグ・アイズ』は、きっと誰もが見たことがあるはずの、目が異様に大きい人物画で大成功を収めたアーティスト、マーガレット・キーンの半生。そして『コレット』は、フランスの作家、シドニー=ガブリエル・コレットを描いているが、奇しくも2人は自分の作品を“夫に奪われている”。どういうことかと言えば、彼女たちの作品は「夫の作品」として世に出され、大成功を収めるのだ。つまり彼女たちは“才能ある男”のただの妻でしかない。しかも、名声と莫大な収入を得た2人の夫は、まるで申し合わせたように、どちらも妻を部屋に監禁してまで、新作を描かせるのである。
 

 夫が妻の才能に嫉妬した。激しく理不尽に

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『ビッグ・アイズ』より

時は20世紀初頭と半ば、すでに女流画家も女流作家もいたとは言え、それでも女性が名を成すのは並大抵のことではなかった時代。だから怖いような偶然だが、2人の夫は同じ言葉を発している。「お前の名前で世に出しても、誰も相手にしない。誰も関心を持たないよ」と。
 
不幸にも、どちらの夫婦も同業者同士。画家の夫も、作家の夫も、それぞれの妻の才能に一番初めに気づいた人であるにもかかわらず、その才能に一番激しく嫉妬した人でもあるのだ。人が人に嫉妬する場合、実はこの「才能に対しての嫉妬」が最も根深くタチが悪いという法則を思い出した。チャンスが少ないこの時代は、なおさらだったのだろう。

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『コレット』より

ただとても不思議なのは、そういう夫の横暴や理不尽に対し、妻たちが従ってしまうこと。いかに時代が違うとは言え、なぜ従うのか。しかもなぜここまで抑圧された環境の中で素晴らしい作品が生めるのか、実話であるが故に、理解を超えてしまう。
いやそうやって、逆境の中でもまっすぐに力を発揮できること自体、人間の潜在能力の1つなのかもしれないが、そこにまた、複雑な女心というものも絡んでくる。夫を立てようとする妻の使命感と、やっぱりちゃんと愛されたいという女心、そして女性がそこまでの自信とプライドをどうにも持てずにいた時代が綯交ぜになっているのだ。なんと健気なのだろう。
 

 今や、才能と情熱さえあればどんな風にも世に出ていけること、思い出したい

ともかく今の私たちには想像もつかないが、女のくせに才能をアピールするなんて! という偏見があって、ついこの間まで女性はそういうものとずっと戦ってきたのだ。
音楽の世界にも女性のオペラ歌手はいても、女性の作曲家や指揮者なんていなかった。どうしても女性でなければならない職業以外は、女性であってはいけなかったのだ。とすれば、自分の才能を知りながらも、黙って封じ込めるしかなかった人がいったいどれだけいたことか!

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『コレット』より

じゃあ今の時代はどうだろう。当たり前すぎて意識もしなくなっているけれど、才能と情熱さえあればどんな風にも世の中に出ていける。別に成功という形にならなかったとしても、自己表現はいくらでもできる。映像だろうが動画だろうが文章だろうが、いくらでも! すべての人に平等に! そういう時代に生きているって、じつは素晴らしいこと。 自己表現は自分のあらゆる可能性につながっていくのだから。あらゆる希望につながっていくのだから。 それをここで再認識してほしいのだ。

映画の話に戻れば、どちらの女性も周囲の力を得て、夫と訣別するとともに、全ては自分の作品であるという訴訟に持ち込む。それは煌めくような自立の始まり、彼女たちは本当の人生を生きていくことになるのだ。それこそ実話の分だけ胸がすくよう。

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『コレット』より

特に小説家コレットは、その後、自由奔放な生き方でも女性たちに多大な影響を及ぼす存在となっていくが、じつは離婚前から、男装の女性と恋をしたり、自ら舞台に立ち挑発的な演技や踊りで物議を醸したりしてきた。逆に言えば夫からの抑圧があったから、それに抗おうとする反発のエネルギーが、彼女を「女性解放の革命児」にしたのだろう。こういう戦いがあったからこそ、今の私たちの可能性は全開になっているのだ。
 

 可能性は 自分の手の中にある?

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『ビッグ・アイズ』より

もちろん、女性が虐げられていた過去を無理に振り返る必要などないのだろう。けれども今の自分たちがどれだけ恵まれているのか、それだけは知っておくべき。逆に言えば邪魔するものは何もないからこそ、エネルギーが生まれにくい時代であるとしたら残念な話。それこそ当たり前すぎて忘れがちだけれども、今の私たちは、本当は可能性だらけ。しかも可能性は自分の手の中にあったり、頭の中にあったり、すぐ近くにあるものなのだ。 
 
だから夢を持てない時代なんて、思っちゃいけない。どんな小さな希望も今ならば大きく膨らませることができるって気づいて欲しい。このちょっと悲しいけれど、ワクワクもする実話モノに、それを学び取りたいのだ。


 
次回は、「男たちがヒロインに本当に恋をしてしまった魅力学メソッド」をテーマにお届けします。
お楽しみに。

イラスト:河村ふうこ

<掲載映画あらすじ・作品情報>

『ビッグ・アイズ』

アンディ・ウォーホルですらその魅力を認め、60年代アメリカで一大ブームを巻き起こした、絵画<ビッグ・アイズ>シリーズ。作家のウォルター・キーンは一躍時の人となる。しかし…。その絵画は1枚残らず、口下手で内気な彼の妻、マーガレットが描いたものだった!セレブ達と派手な毎日を過ごす夫、1日16時間絵を描き続ける妻、そして10年…。心の内のすべてを絵で表現してきたマーガレットは、「このままでは自分を失ってしまう!」と<告白>を決意。だが、天才的なウソつきのウォルターは「妻は狂っている」と反撃、遂に事態は法廷へともつれ込む…。 

価格:1,143円(税抜) 発売・販売元:ギャガ
© Big Eyes SPV, LLC. All Rights Reserved.

『コレット』

フランスの田舎町サン・ソヴールで生まれ育ったコレット。14歳年上の人気作家ウィリーと結婚し、それまでとは別世界のパリへと移り住む。“ベル・エポック” 真っ只中の活気にあふれていた1890 年代のパリ。コレットは夫とともに芸術家たちの集うサロンで、享楽の世界に浸っていた。そんななか、コレットの才能にいち早く気が付いたウィリーは、自身のゴーストライターとして彼女に小説を書かせることに。
その後、コレットが執筆した「クロディーヌ」シリーズは、社会現象を巻き起こすほどの一大ブームとなるのだった。いつしか、世間もうらやむようなセレブ夫婦として注目されるコレットとウィリー。しかしコレットは、自分が作者であることを世間に認められない葛藤と夫の度重なる浮気に苦しめられていく。徐々に夫婦関係が険悪となるなか、コレットは自らの歩むべき道を見つけていくのだった。激動の時代に流されず、あらゆる困難と闘いながらも、最後まで自分自身に正直であり続けようしたコレット。自らの力で切り開いた道の先に彼女が見つけた“希望”とは…。 
 
価格:3,800円(税抜) 発売・販売元:TCエンタテインメント
© 2017 Colette Film Holdings Ltd / The British Film Institute. All rights reserved.

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監修 齋藤 薫さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

女性誌編集者を経て独立。女性誌やウェブサイトにおいて多数の連載を持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。鋭い視点に優しさと強さを含んだ独自のエッセイは、性別や年齢を超えた多くのファンに支持されている。『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)他、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)、『The コンプレッ クス 幸せもキレイも欲しい21人の女』(中公文庫)など著書多数。

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