2019.12.20
温泉は自然の恵みがたっぷり詰まった美と健康の源。キレイになれる要素がたくさんあるからこそ、ただ入るだけでなくもっとキレイになれる温泉の活用法をマスターしましょう。
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キレイを磨く温泉旅2回目は、温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリストの石井宏子さんに、ビューティアップできる温泉の入り方や温泉宿での過ごし方を教えてもらいます。
宿にチェックインして部屋に入ると、テーブルの上にお茶とお菓子。いただくタイミングは、入浴前と入浴後のどちらが正しいか知っていますか?実は、このお茶とお菓子にはちゃんと意味があります。
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「移動も旅の楽しみとはいえ、温泉宿に着いた時の私たちの体は思った以上に疲れています。同じ姿勢で長時間座っていたり、車の運転で気を遣ったりしていると、血液が停滞してドロドロの状態に。そんな状態のまま温泉に直行するのはとても危険です。宿に着いたら、まずはお茶とお菓子で水分とエネルギーを補給してください」(石井宏子さん)
移動の疲れを癒し、水分をたっぷり補給したら夕食前に温泉へ。
「チェックインの時間にあわせて温泉のお湯を入れ替えていることが多いので、チェックインタイムを目指して宿へ入り、明るいうちから入浴するのがおすすめです。ただし、食事の前後30分以上はあけること。また朝食前の温泉は、腸の動きを活発にさせる作用があるので、ぜひ早起きをして入浴しましょう。入浴15分前に水分をしっかり補給することも忘れずに」(石井さん)
温泉に行くと、入り口や脱衣所に「温泉分析書」が掲示されています。美の恵みである温泉の成分を知ることもビューティアップのひとつ。けれど、一見してわかりづらく、初心者にはなかなかとっつきにくいもの。そこで、まずは3つのポイント「湧出地」「泉質」「pH値」に注目しましょう。
❶ 湧出地
まず、源泉をチェックしましょう。源泉の湧出地と宿(申請者)の住所が近ければ、フレッシュな源泉が届いている可能性が高いと期待できます。
❷ 泉質
温泉は自然のさまざまな成分が含有されている、カクテルのようなもの。そして、このカクテルのレシピは温泉によって異なり、温泉分析書を見るとその多くは複数の泉質が組み合わされていることがわかります。
温泉の泉質は大きく分けて10種類。炭酸水素塩泉・硫黄温泉・硫酸塩泉の三大美肌泉質(PART1の「三大美肌泉」にリンク)以外に、単純温泉・塩化物泉・含鉄泉・酸性泉・二酸化炭素泉・放射能泉・含よう素泉などがあります。
〇 炭酸水素塩泉…落とす作用で肌すべすべ
〇 硫黄泉、二酸化炭素泉…めぐる作用で体の中からキレイに
〇 硫酸塩泉・塩化物泉…うるおす作用で肌しっとり
〇 単純温泉…刺激が少なくマイルド
〇 含鉄泉・酸性泉・放射能泉・含よう素泉…元気ハツラツに
❸ pH値
pH7の肌にやさしい“中性”を基本とし、pHが高いと肌をすべすべにする作用があるアルカリ性、pHが低いと肌を活性化させる作用がある酸性のお湯です。
「温泉でキレイになるために忘れてならないのが“かけ湯”です。かけ湯には温泉に入る前のマナーとして体の汚れを落とすこと以外に、“これからこのお湯に入るよ”と温度や成分を体に伝える合図のような、ウォーミングアップ的な役割があります」(石井さん)
かけ湯は入浴前に10杯が基本。温泉を手桶に汲んで足先からスタートし、徐々に体の上部に向かってたっぷりかけていきます。
①右足 → ②左足 → ③右ひざ → ④左ひざ → ⑤右腰
→ ⑥左腰 → ⑦お腹 → ⑧背中 → ⑥右肩 → ⑩左肩
温泉に体を慣らすために、シャワーではなく温泉そのものをかけ湯してから入浴しましょう。
「温泉では、肩までお湯に浸かる全身浴がおすすめ。ただし、温泉にはさまざまな成分が含まれていますので、長く入り過ぎると湯あたりを起こすことも。入浴中に額が汗ばんできたら一度お湯から出るか、段差などを利用して半身浴に切り替えて休憩し、落ち着いたら全身浴に戻りましょう。一度に長く入るより、短い時間の入浴を数回繰り返すほうが体の芯までじっくりと温まり、温泉効果が高まります」(石井さん)
「入浴後の飲み物は温まった体を冷やさないために、常温のお水やノンカフェインの温かいお茶がおすすめです。温泉に入った後は体内の血流のめぐりが良くなっているので、運動は避けてゆっくりとクールダウンしましょう」(石井さん)
化粧品でも、クレンジングや保湿などそれぞれ目的が違うように、温泉もそれぞれの泉質によって美容作用が異なります。目的に合った泉質を選び、キレイをアップさせる温泉の入り方をマスターしたら美肌作用も倍増しそうですね。
次回は、温泉ビューティ体操や美肌に効果的な湯めぐりの仕方をご紹介します。
イラスト:もと潤子
温泉の美容力を研究する日本でただひとりの温泉ビューティ研究家。旅にでかけて宿に泊まることをライフワークとし、トラベルジャーナリストとして取材・執筆、講演など年の半分は日本・世界を旅する。温泉地の自然環境にも着目し、ドイツ・ミュンヘン大学アンゲラ・シュウ気候医学教授に学び「気候療法士」資格を取得。温泉、自然環境、食事、宿での過ごし方などを通じて、心も体もきれいになる新しい旅"ビューティツーリズム"を提唱。外資系化粧品会社、海外ブランドのマーケティング・広報の経験から、温泉地や温泉宿のブランディングやバリューアップもサポートしている。新著書『全国ごほうびひとり旅温泉手帖』(世界文化社)が2019年11月16日に発売。
公式サイト https://www.onsenbeauty.com
『温泉ビューティ―温泉美容力の活用法』(グリーンキャット)
温泉は地球がくれたビューティツール。話題の泉質別ビューティ解説をはじめ、温泉で美と健康を手に入れるために、今すぐ実践できる「なるほど」がたくさんつまっている。
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